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田舎に住むメリット

先日、若者たちと話をしている時に「田舎に住むメリット」という話になった。実際にこの伊豆市に住んでいて困ることはほとんどないのだが、デメリット自体が「メリット」になるということがあると話をした

例えば僕は静岡市のど真ん中で生まれ育った、だから小学生の時からどこかへ行くのも当たり前のように「自分」で出かける。塾だろうと習い事であろうと自分で行く。高校に入れば尚更だが自転車で行動をするからそれなりに遠くまではいける、だから自分のペースで動く ごくごく当たり前のことだ。

しかし、24歳で伊豆に移住をし子供を育てていると街中とは違う現象が起きる。それが「送り迎え」である。

子供が友達の家に行くにも少し離れていたりするので車で送って行ったりする、用事がすめば連絡をしてもらって迎えに行く、ここではそれが当たり前なのである。

これが高校ともなると事情がまた変わってくる。伊豆市に住んでいる中学生が受験する高校というのはいくつかあるのだが、実際に伊豆市内にあるのは1校のみ、それ以外は市外にある。隣の伊豆の国市には2校、函南町に1校、三島に4校 と大体8校の中から選択をして行く(それ以外は沼津まで通う)。 毎朝7時前後の修善寺駅発の電車に間に合うように送り届け、学校が終わって戻ってきたら駅まで迎えに行く。これが3年間、子供2人で6年間行なった。普通に考えてとても大変なことなのだけど、実はこれが自分にとっては とても有意義な時間だった。 毎日10分程度の片道の車中で色々なことを話す、たいわいもないことばかりだけど、そのたわいもないことを話す時間が「ある」ことが凄いのだと感じていた。

自分自身が高校時代ならば、わざわざその時間を作らないと 親と話す時間がもてなかったからだ。聞いた話によると多くの家庭で子供と話す時間が減っているらしい。子供の送り迎えというのは本当に大変な作業であり、負担も大きい部分がある。でも過ぎてしまえばあっという間だし、今ではいい思い出である。送る送らないで親子の関係が圧倒的に変化するかはデータもないのでわからないが、伊豆に住んでいてよかったなと思えることのひとつである。便利なのはとても良いことなのだけど、便利すぎることで失ってしまうものがある気がする。そんなことを思いつつ、伊豆に住むメリットと聞かれれば「時間」と答えることとしている